三田や篠山方面の山へ行く際には、よく「北摂里山街道(県道68号線)」を走る。羽束山と有馬富士はこの道路沿いにあり、通るたびに気になっていた。しかしこれらの山は正真正銘の低山で、一座を登るだけでは余りに物足りない。今回は夕方から用事があったので、なるべく早く帰宅すべくこれらの小山を登ってきた。二座でも小規模な登山なので、ついでに宰相ヶ岳にも登った。
高槻を650出発、北摂の山道を縫うように猪名川へ向う。この道路は途中から北摂里山街道となり、三田まで通じている。まず最初は羽束山を目指し、登山口の香下寺に825到着。広い駐車場の一隅をお借りして833歩き出す。すぐに登山口の標識があり、迷わず山中に分け入る。道はやがて石段となり、延々と続く。傍らにはカウントダウン方式の丁目石が埋まっている(つまり頂上へ近づくほど数字が減る)。六丁には850着、石碑とお地蔵様が迎えてくれる。少し平坦な道を行くと、再びつづら折れの石段となり、「山頂まであと200m」の標識に励まされ、909山頂に至る。山頂部には立派な羽束神社が建っている。少し下ると展望台があり、三田方面の展望が得られる。
頂上に戻り、観音堂を経由して下山開始。途中、谷側へ傾斜した露岩地帯を行くが、お助けロープをつかんで慎重に通過。わずか10分ほどで峠に降り立つ。ここを左折すれば香下寺へ戻れるのだが、宰相ヶ岳に寄ることとして峠を直進。このルートはガイドブックには「踏み跡程度」とあったのだが、それは明瞭な踏み跡で、所々に赤テープもあるので安心して登る。踏み跡に迫る灌木をすり抜けながら高度を上げると952宰相ヶ岳の頂上に飛び出した。一服して峠まで戻り、今度は右折して香下寺へ下る。沢沿いのコースは荒れており、倒木などが散乱している。足下に注意しながらトントン下って1025駐車場に戻った。
羽束山から有馬富士までは4kmほどの距離で、1043有馬富士公園駐車場に到着。再び山仕度をして1048歩き出す。まずは福島大池を目指して公園内を下る。池に映る(逆さ)有馬富士を眺めてから登山路を進む。道は8割以上が舗装路で拍子抜けだ。しかし山頂直下の最後の登りは岩まじりの急登で、息が上がる。1133山頂着、すぐに別ルートで下山にかかる。下り始めるといきなり露岩帯を100mほど一気に降下。下り切ると「わんぱく砦」との看板があり、岩を攀じ登る冒険地帯である。しかし子供向けとしては少し危険な感じがしないでもない。その後は淡々と歩いて公園に戻る。有馬富士公園は兵庫県立公園とのことで、非常に良く整備されておりベンチや東屋も多数設置されている。東屋の一つで昼食休憩をとって1253駐車場に戻り、高槻には予定通り15時過ぎに帰着。夕方からの焼肉懇親会に余裕で間に合うことができた。
お奨め度=3。個々の山は「お奨め度2」程度だが、合わせて登れば少しだけ充実度が上がる。低山なので5月頃までが登山適期だろう。今回コースは道標の不足している部分もあるが、注意深くルートファインディングすれば危険はない。出会った登山者は羽束山で2名、有馬富士では10名。
筆者は朝日新聞を購読しているが、「文化・文芸面」の(生物学者)福岡伸一先生の「動的平衡」コラムを楽しみに読んでいる。毎回、意味深長な文章に刺激を受けているが、2017年5月11日のコラムでは「美術館での作品鑑賞に双眼鏡を使う」という話が紹介されていた。「室内で双眼鏡を?」とビックリして調べると、それは近距離焦点双眼鏡というもので、何と50cmの距離でも合焦し細部まで観察できるという代物であった。まさに持ち歩く実体顕微鏡、またはマクロ機能付き双眼鏡と言うべきモノで早速購入(この種の双眼鏡はPENTAXのPapilio IIしか販売されていない。12,150円…安い!)。筆者は老眼が進行し、細かいものが良く見えずに大変不便をしているのだが、これさえあれば野外での観察が楽しくなりそうである(老眼鏡の代わりにもなるかも知れない)。