2012年8月25日〜26日 戸隠山
とがくしやま 1904m
高校時代の同級生13名(♂5名、♀8名)で山麓のペンションに泊まり戸隠山を歩いてきた。戸隠山は最上級者向けの岩山として知られ、尾根筋が幅 50cm長さ20m、両側が150m切れ落ちているナイフリッジが有名である。「怖いもの見たさ」でこの山への挑戦を希望した筆者だったが、他にもクサリ場や絶壁の縁を歩く箇所など数えきれず、緊張の連続を強いられる恐ろしい山だった。なお、戸隠山を登ったのは男5名の部隊である。
【8月25日】
長野新幹線あさま509号で長野へ向った。満員の乗客も大半が軽井沢駅で降車し、長野駅には1018のんびりと到着。駅前でメンバー集合し、ジャンボタクシー+普通車タクシーで戸隠へ向う。1120ペンション「山の庭TANNE」着。荷物を整理して散歩に出る。戸隠神社奥社入口にある「なおすけ」という蕎麦屋にて昼食、生ビールと鴨汁ソバ(大盛)を注文。さらに蕎麦焼酎も追加注文。
お腹を満たしてから奥社参道を歩く。約2Kmの長い参道で、夏休み最後の週末とあって観光客が多い。アルコールと暑さのせいで汗だくとなって奥社着。参拝の行列には加わらず、明日の登山口を確認する。登山道入口にはコース略図、登山届けポストの他に「あなたの命はあなた自身が守って下さい」と大書されている。パンフレットには「事故の場合は墜落、したがってほとんど即死」と恐ろしい記述が……
奥社参道途中の随神門から「ささやきの小径」を辿り鏡池へ。この池は戸隠山の撮影ポイントらしく、三脚にカメラを据えた人々がシャッターチャンスを待っている。明日登る予定の尾根、戸隠山の岩稜、荒々しい稜線が良く望める。近くのレストランで水分補給しペンションへ戻る。
入浴後、ペンションのテラスでビールを飲むが、滅法うまい。その後夕食(洋食)、またビールやワインを飲んで、明日に備えて早めに就寝。
【8月26日】
430起床、本日は戸隠山挑戦(男5名)、飯縄山挑戦(女3名)、付近散策(女5名)の3班に別れての行動だ。戸隠山班は出発が早いため515朝食。食事はシンプルな和定食であるがみそ汁や野菜類が美味しい。早起きの女性数名に見送られ、600出発。昨日偵察した奥社まで、参道をせっせと歩く。ここでウォーミングアップできたが、飛ばし過ぎで早くも疲れを感じる。
登山道は始めから急坂である。先頭の隊長はドンドン先に行くが筆者はすぐに息が上がってしまい、足取りが重くなる。高度が上がるにつれ岩稜が間近に見えてくる。その禍々しい姿を目にするも、あと数十分でそこに立つという想像力が働かない。百間長屋と名付けられた岩の窪みを過ぎるとクサリ場が現れる。ここは20mほどの鎖だが、傾斜は緩く足場もしっかりしているので難なく通過。次は30mの岩場を三連のクサリで登る。最初はホールドの少ない箇所を斜めに登る。二番目の鎖はほぼ水平に岩壁をトラバース、最後の鎖を70度位の斜度で登る。前を行く二人の行動が大いに参考となる。さらに15mのクサリ場。ここはむき出しの岩壁で高度感があり怖い。しかし手がかり、足がかりは豊富であまり苦労なく登れる。上部は右方向にトラバース。ともかく下を見ないように心がける。登り切ると遭難碑がありイヤな気分である。
さて、いよいよ蟻の戸渡りだ。幅50cm、長さ20mの下り気味の痩せ尾根。左側は垂直に切れ落ちている。右側には数メートル鎖で下りて蟻の戸渡り部分をエスケープできるルートが作られている。迷わずエスケープルートを選択。しかし鎖を下降するのも緊張する。慎重に下ると今度は鎖に掴まりながら真横への移動。さらに登って再び稜線に出る。今度は剣の刃渡りだ。ここは幅30cm、長さ2mのまさにナイフリッジで、エスケープルートはない。前の人に倣い、尾根に馬乗りに跨がってズリズリ進む。格好悪いが気にしている場合ではない。下を見ないように、岩だけ注視して進むと左下方に足場があるので、そこへ降りれば刃渡りは終わる。全員無事に通過し、その後も片側が切れ落ちている岩壁上部を慎重に歩き842八方睨(はっぽうにらみ)着。緊張が解けて疲労感が増強した感じである。タイミング悪くガスが出てきて眺望は得られない。小休憩して出発。振り返るとナイフリッジ部を攻略している登山者が良く見えるが、大半は馬乗り戦法や四つん這い戦法で通過している様子である。戸隠山には906到着。その後は尾根歩きであるが、アップダウン激しく体力消耗する。筆者は休憩の度に座り込む始末で本当に疲れた。1054ほうほうの体で一不動避難小屋に到着、昼食休憩としたが、疲れのためか弁当が喉を通らない。無理して半分ほど食べ1120出発。ここからは沢筋を下るのみ。しかし戸隠山は甘くなく、数カ所のクサリ場が待っていた。途中の「氷清水」という湧き水が冷たくて滅法美味しい。これで息を吹き返し、慎重に下山、1216戸隠牧場に下り着いた。
牧場の食堂に入ると「付近散策班」の女性陣と偶然遭遇。ビールで乾杯し、ようやく生き返った筆者であった。その後ペンションに戻って荷物をピックアップし「戸隠神告げ温泉」にて入浴、打上げ宴会で盛り上がった。
今日のご馳走
【初日昼食】奥社参道入口にある蕎麦屋「なおすけ」にて鴨汁そばを食す。
【初日夕食(写真なし)】ペンションTANNNEにて。フレンチ風コース料理。人参のテリーヌ風、サーモンソテー、豚ヒレ肉の香草焼き風、パン、コーヒー、デザート。料理に「風」が多いのが特徴。
【二日目朝食】和定食。味噌汁が美味。
【二日目昼食】ペンションで用意してくれたおにぎり弁当。中サイズのおにぎり三個、おかずが多くボリューム満点。とても美味しかった。
【二日目夕食】戸隠神告げ温泉の食堂にて「安兵衛そば」。安兵衛というのは食堂の名前で、入浴とセットで100円安い(入浴600円+安兵衛そば1000円=1600円が1500円となる)。安兵衛そばには野菜天ぷらと山菜の漬け物が付く。
そばは「なおすけ」「安兵衛」ともに美味しかった。さすが戸隠である。